雇い止めが懸念される「2018年問題」
変わる派遣業界に注目
最近では、労働者の立場をより守るために労働基準法などの強化が求められています。それに応じて、派遣業界でも雇用形態に重点を置いた改革がおこなわれています。実際に派遣として働いている人にとっては、この影響は大きく、社会的にも注目されています。また派遣は特殊な雇用形態のため、個々の保護が非常に重要になってきます。そのため派遣が関係する改革には、慎重さも必要になります。派遣として働く場合には、この変更点に応じて考え方も変えていきましょう。
派遣の2018年問題について
今、懸念されている派遣の2018年問題の中心となっているのが、派遣期間の3年ルールによって起きる派遣切りです。今まで派遣期間の定めがなかった26の業種に関しても、2015年に改正された労働者派遣法では3年の縛りを設けることになりました。この26の業種で働いていた約65万人に対して、何割かは派遣切りにあうのではないかという不安を与える状況に陥っているのです。全ての業種において、派遣で雇用されると3年後に直接雇用に切り替えるか、退職を迫られるという状況です。
本来、改革をおこなう目的は派遣を保護することにありましたが、結局は雇い止めされる不安が勝ってしまいました。この懸念は、今後どのように派遣業界に影響を与えるのでしょうか。派遣切りが起こることで、労働市場にはマイナスに働く部分も多く、さらなる影響が予想されます。大きな派遣会社であれば、新しい派遣先を確保できますが、もし無理であればそのまま雇い止めになってしまうのです。そのため派遣で働くことは、正社員になる可能性を下げ、リスクを背負う雇用形態になりつつあるのです。
改正による変更点
労働基準法が改正され、時間外労働に対する正社員のコスト高も問題となっています。このコスト高を解決するために派遣が多く登用されるようになりましたが、逆にその増加したコストの分だけ派遣の雇い止めも起こるようになりました。さらに過労が大きな社会的問題となっている日本では、労働時間を減らすため各方面でさまざまな影響が生じているのです。
また、労働契約法の改正では2013年4月1日以降に有期雇用契約をした労働者が、5年以上この雇用契約を継続した場合、無期雇用契約へ申請することが可能になりました。これを活用することで安定的な雇用が保証されるようになったため、多くの人が派遣という形態を希望するようになることが予想されます。多くの人が無期雇用契約を希望すると、派遣会社が全員を受け入れることができなくなり、結局は雇い止めが発生してしまうのです。このようにさまざまなところで影響がある2018年問題は注意が必要なのです。